夢に見たんだ眩しい舞台上
割れんばかりの喝采を浴びた
あれは確かに僕の夢だった
ライトでちゃんとは見えないけれど
気づけば僕は客席の端っこで
遅れて立ち上がり拍手送る
待てど暮らせど出番はこなくとも
寝言ばかりの自分を飼い慣らす
僕らしき彼は世界を照らし
君にできるかい?と問いかけてくる
今日や明日には間に合わないけれど
明後日にはきっとできるさと答える
後ろ姿を追いかけ彷徨う
そこには誰もいないと目覚めた
やっぱりそうか彼は僕じゃない
僕が夢見た僕じゃない何か
太陽の光なくして佇む
手のひらにそっと灯りが灯る
やっとわかったよ太陽にはなれない
手元を照らすだけで精一杯の灯りさ
夢に見たんだ眩しい舞台上
あれは確かに誰かの夢だったろう
舞台袖から外へ抜け出して
手のひらの灯りを道しるべに
手のひらの灯りを道しるべに
灯り
2022年9月30日